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8月20日(月) 夏は野外映画のシーズン、お金がなくてバカンスに行けない可哀想な人々のためにパリ市やForum des Imageさんという名画座さんが、入場無料の野外映画祭を開いてくれたりしています。さすが、映画の国であります。特に forum des images さんの「Cinema au clair de lune (勝手解釈:月の下で映画っていうのもいいんじゃないの祭り)」という野外映画祭はなかなかオモロ。「北ホテル」だったら実際の北ホテル前で、「猫が行方不明」だったらバスティーユ近くというように、上映される映画の舞台に近い場所が上映会場に選ばれるという趣向なのです。凝ったお祭りですなあ。日本でも真似して「戦国自衛隊」を新潟県青梅町の崖のてっぺんでやってほしいものです。パリに住んでいる人って本当に恵まれているんだなあ。 そして本日は我が家の近くサクレ・クール寺院で、アラン・ドロンの「サムライ」や、「恐るべき子供達」などを作ったメルヴィルの「賭博師ボブ」が上映されます。非常に禁欲的で無駄のない画面(カメラはどうやらドカエらしい)を作るメルヴィルにかかれば、パリの歌舞伎町ことピガールも非常にストイックで鬱屈した街に変貌。白黒の画面で見るピガール、1955年のピガールは、いつも見ているピガールと同じようでいて、ちょこっとだけ違っているハードボイルドな街。道行くお姉ちゃんたちはみんなグラマラスで、お兄さん達はダンディな、そんな映画の中だけに存在するピガールで、大事な大事な金庫襲撃の日に、いっつも負けてばかりの老賭博師ボブはんが、たまたまその日に限ってカジノでなぜか勝ちまくり、仲間との待ち合わせをすっかり忘れちゃって逮捕、あらあら・・・ というまぬけストーリー。なのに、とにかくテンションを抑えに抑えた演出で大人の映画に仕上がっております。 それにしても、いつも見ている建物や通りが50年近く立った現在のそれと変わらないってすごいことですねえ、そんでもって更に50年後の街並みも(多分)あまり変わることがないってのもすごいことですよねえ・・・ 街の重みというものに思いを馳せながら帰途につきました、はじめてフニクレールに乗ってしまいましたよ。 8月19日(日) 昨日遊びにに来たスロヴァキアンガールがまた遊びに来てくれました。とにかく淋しいので一緒にいてほしいとのこと。外国に来たばかりのころってそういうことありますよね。しっかし、私も調べもの等がありましてマレまで行かなくてはならないのですよ・・・ ってなことを言ったら、未来のパリジェンヌは大きな目を真っ赤にして「お願いだから連れて行って」とせがみます。美少女が目を潤ませて・・・ もし彼女の身長が152センチぐらいでテンプルちゃんみたいな格好だったら、間違いなく監禁していたと思いますが、スロヴェック娘の身長は180センチ(plus ヒール)、そしてジェリちゃんみたいで、しかも見下ろされていたので、すごまれてる気分、こぇぇ。まぁ、ただお店チェックするだけなので、ついてくる? でもただ歩くだけだよ? そう言うと彼女はめちゃめちゃ嬉しそう。慣れない異国の環境はどんな国の人にも厳しいものです。 さて、小学生時代の愛読書はつるピカハゲ丸であった私も彼女に負けず劣らず貧乏、今月の目標は交通費を30フラン以内に納めることです。なのでただのウィンドウショッピングに交通費など費やせません。モンマルトルの山を越えて、のんびりマレまでハイキング。のんびりすぎて、2時間もかかってしまいました・・・ んで、ガイドブックに載っているお店のチェックに取りかかります。やっぱりこの辺はお店の回転がはやいね・・・ こないだ開店したお店がもう無くなってるよ、そうおもいません? あれ? あれれ? 隣を歩くお嬢ちゃんのお顔が真っ青で、なんかぐったりしているよ、どったん? ! そうでした、彼女はここんとこ、10日で4キロやせるために、胡散臭い薬品しか口にしていなかったのでした。 あらららら、こりゃ大変。私の気の利かなさで人が一人死のうとしている・・・ とりあえずカフェに寄って何か飲んでいく? と聞いても「お金がないの、何も頼めないの」と・・・ でもでもとにかく休まなくては、カフェに寄って私だけお茶を頼み、彼女にはお水を沢山飲ませます。ご、ご、ご、ごめんなさい。無理させちゃってほんとごめんね、ごめんね。人に対する思いやりが著しく欠けていました、若いお嬢ちゃんをこんなに痛めつけちゃったなんて・・・ 郷里のお父様、お母様に申し訳が立ちません。長風呂に入るとか、紅茶に生姜を入れるとか、甘ったれたダイエットしかやったことがなかったための大失態でございました。ほんとにほんとにごめんなさい。 ということで帰りは電車。お疲れの彼女は、それでも人と離れるのがつらいらしいので、彼女のお部屋で箸で豆を掴む練習を夜まで繰り広げました。自分は自分で、喋れない英語を無理矢理使っていたので、頭がパンクしそうになりました、体も頭も無理をさせてはいけないのですなあ。 8月18日(土) 上の階に住んでいる18歳のぴちぴちスロヴァキアンガールがお茶を飲みに来ました。彼女は7月にパリに来たばかりなので全くフランス語が話せません。お金がないので語学学校に通えず、そのためお友達不足なんだそうです(なので、下に住むおいらのところに遊びに来た)。なので英語でお話、、、なんですが、自分は英語は話せないので意志の疎通ができません。ベルギーで買ってきたチョコレートを薦めても全く手をつけようとしないのは、私の言葉が下手だから?毒じゃないよ、チョコレートだよ。スロヴァキアってチョコレートがないくらい貧乏な国なんすか???? ではなくて、彼女はダイエット中でありました。スロヴァキアでモデルをやっていたという彼女は、一旗揚げるためにパリに乗り込んできたという野心バリバリ前途ある若者。スロヴァキアでは通用していた59センチのウエストではパリでは仕事がもらえないそうで(こっちではウエストは57センチ以下でないとダメらしい)、なので10日間で4キロ痩せるというなぞの薬「104」を飲み続けています。食べたいものが食べられないなんてこの世で一番つらいことじゃありませんか。「でも、これが私の仕事だから・・・」と言い切る彼女はもう立派なプロのモデルさんなんですなあ。あんまりにもいじらしいので、お姉さん、家にあった烏龍茶やら日本茶やら、カロリーゼロのものを沢山プレゼントしてしまいました。はやく仕事が来るといいねえ。 んで、烏龍茶や緑茶を見て「?」な顔をしている彼女、聞いてみると生まれてから一度も烏龍茶も中華料理も飲食したことがなく、もちろん箸も持ったことがないそうな。おお、初々しい! さっそく家にわんさかある中華総菜店で貰ったお箸をプレゼント&お箸の持ち方教室の開講(私の箸の持ち方も著しく間違っているのだが・・・)、そしておいしいお茶の入れ方教室の後には、アジアの食べ物が如何に健康によいのか、ということを詳しくレクチャー。わかめや昆布はミネラルたっぷり、カロリーゼロ系の話をすることによって、わずかの時間で「いつか仕事で日本に行けるようになりたい」と言わしめるぐらいに心を掴みました。ほんと、立派なモデルさんになっていろんな国に行けるようになるといいねえ。 それにしても10日で4キロって・・・ 100キロの人が96キロになる薬で47キロの子が43キロになれるのでしょうか? とにかく体には気をつけていただきたいものです。 8月17日(金) 郵便受けに一通のお手紙。「給料貰ってるんだったら保険入りやがれ、ゴルァ」というお役所さんからのお達しです。セキュリテ・ソシアル、いわゆるフランス版健康保険はフラン給与所得者は必ず加入しなくてはなりません、そんなん本日まで知りませんでしたよ、任意だと思ってましたよ。入んないと勤め先とかに迷惑かけることになっちゃうのかな・・・ 何年かきちんとお金を払い続けていると、メガネや出産は無料、歯医者も格安で受けることができるという恵まれた保険制度。けれども、どうせあと一ヶ月で帰るのだし、日本で保険に入ってきたのだから、加入する必要がないような気がするのです。加入するには日本から戸籍抄本送ってもらって、それをしかるべき所にお金を払って翻訳してもらわなくてはなりません。そんな面倒くさいこと今更やりたくないっすよ、でもでも、そういや給料からは控除されてたしな・・・ てもうまいことやってバイト可能になれるんだけども・・・ でもわざわざ実家に連絡取って抄本取って貰うのもなあ・・・んー 困った、ばっくれちゃってもいいよねえ・・・ 8月16日(木) 昨日も思ったのですが、パリで有名なお店というものに数えるぐらいしか入ったことがありません、もうすぐ帰国なのに。まぁ、日頃から貧乏なので別にどうでもいいっちゃどうでもいいのですが、やはりおいしいものは食べといたほうが、のちのち後悔することもないような気がします。ということで本日は昨日のリベンジも兼ねて、天下のマリアージュフレールに行くことになりました。マリアージュフレール、、、知らない人は一生知らない、紅茶好きだけが憧れるフランスの紅茶専門店。店内には紅茶だけでなく世界各国のお茶が常時400種類以上並び、フレーバーティー「マルコ・ポーロ」は、25ansマダムが開くお茶会の必須アイテム。そんなお店の門をくぐるときがやってこようとは。ただお茶を飲むだけなのに、朝と昼を抜く日がやってこようとは。 おそるおそる足を踏み入れたテルヌ店は(マレにあるお店が一番大きくて有名)、暇そうな店員がおしゃべりに高じております。よく見るとどのギャルソンも20代前半、しかも美少年ばかり。これはこれは何とすばらしいお店なのでしょう、もう紅茶なんて飲まなくてもよい、ただ椅子に座っているだけでよいです、ほんとほんと。と、思ったのですが、やっぱり注文しなくちゃいけないみたい。注文取りのギャルソンさんは、滝沢君の目を青くして金髪にしたような方。まぁ、取りあえず座ってシャンパン注いでくれや、ぐへぐへ、どこ住んでるの?ぐへぐへ。なんて言ってみたかったのですが、こんな時に限って恥じらいが邪魔をしてしまいます。「『おかしてんこもりセット』と・・・ これに合う紅茶はなにかしら? あなたにお任せ。し・ちゃ・う(はぁと) うふ」なーんてことを言ってみましたが、来たのは普通のダージリンでした。しかも少年は紅茶とカップをテーブルに置いたら、すぐにすたすたとどっかに言ってしまいました。んー こんなんだったらマルコ・ポーロかエスプリ・ド・ノエルを自分で頼んでおけばよかったなあ・・・ つれない少年だぜ、ぷんぷん。 ま、おかしてんこもりセットとダージリンはもちろん素晴らしい組み合わせ。めちゃくちゃ美味しいお菓子なのですが、あくまでも脇役に徹しており、主役の紅茶をこれでもか、これでもかと引き立てているのです。ここのマカロンも美味しいんですよねえ、 チョコケーキと紅茶の組み合わせは絶妙なんですよねえ、んもう、なんていいますかねえ、大げさなんですがねえ、生きていて良かったっていうかねえ、そんな気分ですよ、まったくもう。 たっぷり紅茶を飲んだ後はもちろんトイレへ。トイレの前にはなぜか「紅茶博物館コーナー」というものがあり、用を足した人も用を足していない人も一体となって、紅茶について知ることが出来るという素晴らしいコーナー。紅茶好きにはたまりませんねえ、まったくもう。 しっかし、至福の気分でテイクアウトのショップを覗いてみたら、全ての紅茶が青ざめてしまうようなお値段だったのにはショックでございましたよ、おみやげ的にはOKな値段なんすけどねえ、、、デイリーユースなお値段ではないんだよねえ、、、 8月15日(水) いつもいつも横目でちらりと見るだけで通り過ぎていたパン屋さんポールのカフェに足を踏み入れることにしました。ポールはポンパドールやサンジェルマンの内装を高級にしたようなパン屋さんチェーンで、店舗によってはカフェも併設されております。いちおう全ての原料がBIO(農薬や化学肥料を使わない)製品ということになっており、その高級そうな内装とリッチなイメージによって人気急上昇、スターバックスなみにいろいろなところにポコポコと出店している、いけいけどんどんなパン屋さんです。人気があるのに、今までブリオッシュしか食べたことがないものですから、もうすぐ帰国ってことで記念に入ってみることにしたのです。どうでもいいことですが「もうすぐ帰国」って、どんなミーハーなことをしても許してもらえる便利な理由ですなあ。 入ってみたのはピラミッド店、この辺はビジネス&観光街なのでパン屋さんはここぐらいしかありません、なのでいつも行列。そんな行列をかき分けかき分け、カフェのスペースに入ってみます。が、店内は空席ばかりだというのに、全てのテーブルの上に残飯の山がてんこもり。どうやらやる気のないウエイトレスさんが、お片づけをしていないようです、うーむ。ふとっちょのウエイトレスさんが、私を見るなり舌打ちをして、テーブルの一つを掃除し始めましたがどうも手抜き。座ってみたテーブルには案の定、パン屑やジャムがべっとりです、むむむ。帰ろうかなあ・・・ んでも、取りあえず食べてみなくちゃ分からない、ということでミルフィーユと紅茶を注文。。。 して10分待たされた後にふとっちょウエイトレスがやってきて「売り切れた」と一言。「じゃあ何があるの?」と訊ねると、「自分で歩いてウィンドウの中見れや、ゴルァ」とのこと。ふとっちょは深夜のガスト店員なみのやる気のなさです。 んで、イチゴのケーキを頼んでみたのですが・・・ うーん、スポンジはパサパサだし、紅茶は香りがないし、なんだかなあ。ほんとにこれを美味しいと思っているのか?フランス人は? 太目さんは相変わらず壁によっかかってぼーっとしています。背中のお肉のおかげで、クッションいらずでよいですなあ。しかし、おいらがケーキをやっとこさ食べ終えた瞬間、ブさんったら音速の早さでとんできて、おいらのお皿を七里ヶ浜のトンビがバーガーを浚うかの如くかすめ取っていきやがるのです、おい。非常にげんなりしてきましたので、とっとと帰ろうと思って席を立ちましたら、デさん、つっつかつーとツーステップでやってきて、ハキハキとお勘定の計算です。なんと分かりやすい人なんだ・・・ ということで、おいらのポール初体験物語は非常に後味の悪いものになってしまいましたです、他の支店だったらもうちとマシだったのかなあ・・・ まあいいや、もう来ないし。 8月14日(火) オペラ界隈を散策。このあたりはジュンク堂やネットカフェ、うどん屋さんなど、日本を懐かしむ人々が必ず訪れる郷愁のジャポネタウン。なので、おいらもノスタルジーに浸るという目的以外でこの地を訪れたことが今までなかったんですわ、結構素敵な通りなんですけどもねえ、本日は日本な所は訪れないぞ、というプチ目標を立てて遠足に繰り出しました。 家から墓地を踏み越えて、クリシーを通り越し、サン・ラザール駅を通り過ぎると大通りにぶち当たります。ここまで来ればマドレーヌへもオペラへも、好きなところに行くことが出来ます。パリは日本と違って名所と名所の間の距離が短くてよいですのう。 さて、本日の散歩コースはここからマドレーヌを抜け、リヴォリ通りを経由してピラミッド、そんでもってオペラへ戻って歩いて帰る、という感じ。この辺はいわゆるハイソな地区でして、カフェも服屋もなにもかもがお高く止まっていらっしゃいます。マドレーヌ広場にはフォション、エディアール、マイユなど紀ノ国屋でみのもんたがドカ買いしてそうな食材店ばかり。マドレーヌからリヴォリ通りまでの道のりにはエルメス、カルティエ、ランヴァンなどなど、そんでもって一周まわってオシャレ(と考えないと納得できない)なブッダバー・・・ うーん、冷やかしにも入れない店ばかり、この周辺は本当に貧乏人にはつらい地区であります。コーヒーも気軽に飲めやしない。 ラデュレや虎屋、アンジェリーナを横目で見つつ、安いカフェを探しますが、やっぱりこの辺はコーヒー一杯15フランが相場みたい。自宅前のカフェは8フランでありますので約2倍のお値段ということに。同じ市内でも土地によって値段は変わるんだよねえ・・・ ということで足を引き引き、喉の乾きを押さえつつハイキングは続きます。 とことこ歩いてピラミッド近く、世界のコレットまで来ると、ようやくこんな自分でもお店の中に入れそうな雰囲気。んでもんでも、コレットの内部に飾ってあるのは奈良美智だったり、売っているのはAPEだったりと、サイゾーあたりが取り上げていそうなものばかり。パリのトンガリさん達にはエキゾチックなジャポンものが素晴らしく映るのでしょうねえ、、、 ってな感じで水も飲まずに4時間近くぶっ通しで歩いていたら、ちょっと脱水症状起こしてきました。やばい、やばい、ビールを・・・ ということで、気がついたらうどん屋さんの門をくぐっておりまして、ビールと枝豆がお腹の中に。。。。さらに閉店までダラダラと粘り、店で働いていた友人を連れだし、近くの飲み屋さんにさらにビールを飲みに。。。 うーん、出発前の誓いはどこへやら。 8月13日(月) 先日のモンマルトル訪問のときはすっかり忘れていましたが、ここら辺は大ヒット映画「アメリープーランのなんちゃらかんちゃら」ブームのおかげでかなりホットになっております。外国からの観光客はサクレ・クールへ、フランスの地方から来た観光客はアベスをうろつくのがどうやら最近の傾向みたい(すれ違う人の喋っている言語により勝手に推測)。熱しやすく冷めやすい人々の国ですから、このブームも一過性のものだとは思うのですが、いちおうはやりの場所はチェックしておきましょう、ということで先日のチェックし忘れ項目探し&アメリーの舞台チェックをしにアベスまでお散歩。まあ、桜坂みたいな一過性のブームだとは思うのですが。 まずは主人公のアメリが働いているという喫茶店を探しに。彼女が働いているカフェ「ドゥ・ムーラン」は実在する喫茶店で、ルピック通りというアベスというよりブランシュに近い商店街の中にあります。現在この喫茶店へと世界中から田舎者が集っているそうなんですが、行ってみたらなんと、夏休みで閉店しておりました。なんということだー 喫茶店まで休みに入るとは。恐るべきフランス。 しかたがないので映画に良く出てくる八百屋さんを捜しに。聞くところによるとこの八百屋さん、映画の撮影用に監督がデコレーションさせたそうなのですが、観光客を呼ぶために現状復帰せずに映画のまんまにしているそうなのです。映画に出てきた八百屋のマスターもけちなおっさんでしたが、実際のオーナーもお金に関することは敏感らしいっすね。ということは、夏休みなんて取らずに営業しているはずですよね、さてさてどこにあるのかな? 映画の中で八百屋さんの丁稚役をしていたジャメルは、潰れた錦織一清のようなキュートなツラで人気急上昇中のコメディアン。デフ・レパードのドラマーと同じ体の部分が無くて、吃音で、非常に非常に小柄なという、むずかしい状況でありながらそれをバネにした面白ギャグをぶちかましてくれる気のいいお兄ちゃんです。んで、映画の中で彼がお勤めしていた八百屋さんなんですが、いくらパリが狭いといっても、やっぱり入り組んでいると分かりにくいもの。ちゃんと調べてくれば良かったなあ、とりあえず街を徘徊。 アベスはおしゃれな街ということになっているのですが、お店が固まっているわけでもなく、坂道は尋常じゃなくきついのでチェックするのはかなり大変です。こんなに不便な土地なのによくもまあ栄えたもんだ。そんなことをブツブツ思いながら、とぼとぼ路地裏を歩いていると突然目の前にメルヘンな八百屋が。なんと、なんと、こんな場所に! めちゃくちゃ住宅地ではないですか。これじゃあ見つからないわけです。 八百屋さんの内部を見てみると、奥にはニンマリしたアラブなおっさんが座っており、壁には映画の記事がたくさん貼ってあります。映画でもうかって本当に嬉しいのでしょう。まあ、人生のチャンスっていうのはどこに転がっているか分かりませんからねえ。 私がぼーっとお店を眺めている間にも、いろいろな人々が来てお店の写真を撮り、うっとりしながら帰っていきます。きっとこの人たちが日本に生まれたら桜坂とか行っちゃったりするんでしょうなあ・・・ ってなことを考えていたら、急激に恥ずかしくなってきました。やばいやばいやばいやばい、何に対して恥ずかしくなっているのか自分でも分からないのですが、とにかくその場から顔を赤らめて走って家まで帰りました。うーむ、まだまだ自分は修行が足りないようです、こういう場合は開き直った方が楽しいっていうのは分かっているんですけどねえ。 8月12日(日) 昨日から全身の筋肉が凍っています、高速道路での体の緊張が未だに解けないのです。心臓はまだドキドキいっており、何をやってもロボットダンスのようにぎこちない動き。これではいかん、体をほぐさねば、そうだローラーだ! ということで、ローラーのお師匠さんにアポを取って毎週日曜日に行われているのローラー軍団との集団走行に参加することにしました。お師匠さんは月に一度のハイテンション週間に突入しており、金曜日は深夜のローラー集団走行(平均時速40キロ)に参加、昨日の土曜はセーヌ川ほとりの道路無料開放でひとしきり滑走、それでも体が走り足りないとのことで今日も初級・中級者と一緒にパリを駆けめぐるそうです。これはグッドタイミング、久しぶりに滑り方を教えて貰いましょう、よろしくおねがいします。 パリでは、週に2回ほどローラー愛好者が集まり集団で車道を突っ走る会が開かれています。金曜日の夜はローラー上級者達が、日曜の昼間は初心者・中級者たちが、車のいない車道を警察とボランティアの先導によって、好きなように走り抜けるのです。青空の下、何も気にせずすいすい滑れるなんて、そりゃあ気分がよいんでしょうなあ。ということで、14時15分前ににバスティーユオペラ座前に待ち合わせ・・・ したのですが、いつものように時間にルーズな自分がバスティーユに到着したのは14時30分、集団走行のスタートは14時。変な薬とかやってもないくせにテンションが高まっているお師匠さんはもちろん私を待ってくれているはずもなく、とっとと集団走行の列に入っていってしまいました。広場には私ひとりぼっち。お師匠さんは携帯電話を持っておりませんので、こっちから連絡を取ることはできないのです。こうなったら私がその集団を追いかけるしかない、走って走って走りまくれば、きっと追いつけるはず。とにかく、近くにあるリピュブリック広場までがむしゃらに走ってみんなと合流しよう、そうしよう。 と思って走り始めたはよいのですが・・・ 甘かった。 バスティーユ広場にいただけで転ぶこと5回、歩道と車道の段差毎にすっころび、何もない所でさえもバランスを失う、とにかく動けません、涙がでそう。本日は大きめのリュックを背負っておりますので、後ろにコケてもひどい尻もちをつかずにすんでいるのですが、それにしても5メートルおきに転ぶ人ってどうなんでしょう、やっぱまずいっすよねえ。 そんでもって1時間後、ようやくリピュブリックに着きました。歩いて15分程度の道のりなのに。当然みなさんいらっしゃいません。そして私の携帯電話にお師匠さんから心配してかかってきました。「今ヴァンドーム広場だけどどこにいるの?」と・・・ リピュブリック広場はパリ市の右っかわ、ヴァンドーム広場はパリの真ん中からちょい左より。私のペースでそこまで行くには7時間ほどかかりそう。しょうがないのでお師匠さんのお薦めによりセーヌ川のほとりで集団を待ち伏せすることにしました、ローラー軍団はパリを一周して再びバスチーユに戻ってくるそうで、私の能力だと先回りしか合流できる方法はないんだそうです、そりゃそうだよな。ということで1時間30分ほどかけて、100万回ほど転びながら漸くセーヌ川にたどり着きました。パリ市長の提案により、8月15日までセーヌ川岸の車道は歩行者天国となっております。ここは自転車やローラー、歩行者の方々川を眺めながらゆるやかに運動するのどかな場所。そこで自主トレをしながら、ローラー軍団がそばを通るのを待て、とのお師匠様のお言葉だったのです、が、あんまりにも自分の歩みが遅かったため、川岸に到着して5分と経たずにローラー軍団の方々がやってきてしまいました。本日は300人ぐらいでしょうか。ものすごい勢いでローラーの人々が車道を駆け抜けていきます、たぶん20〜30キロは出ていると思うんだけど・・・ ほんとにみんな初心者なの??? びびっていると、集団に紛れたお師匠さんがやってきました。「どうしたん? 速く入りましょう、入りましょう」と猛スピードの集団の中に加わるようにせかします。しっかし、こんな荒々しい人々の中に入れるわけないじゃないっすか。ためらっていると、お師匠さんは歩道にいた私を引っ張り込み、むりやり集団の中にぶちこみました。車道は緩い下り坂、緩いとは行ってもヒヨコの自分にはものすごい急坂に感じられます。集団走行のため、真横50センチのところに他人がいたりします、もし私が転んでしまったら周りの人も巻き込んじゃって大惨事が起きるんだろうなあ・・・ そんなことを一瞬考えてしまって体が凍り付いてしまいました、ら、バランスが! うわああぁぁ、転ぶーーー これのどこが初心者向けなんじゃいーーーーー 泣き叫んでみたら、後ろで見守っていてくれたお師匠さんがやってきて、すぐさま私を集団から引き剥がしてくださいました、ありがたい、、、そして直後に一言。 「うわぁ、全然上達してないねー こんなに上達してない人見るのはじめて」 ・・・すいません・・・ 本当にすいません・・・ 自分でも・・・ 分かってはいたのですが・・・ ということで、せっかくローラーの集団に入れたのに、たった5秒で離脱してしまいました。こんなにつらい履き物だったとは・・・ 分かってはいましたが精神的にもお尻にもつらい種目です。 8月11日(土)ルクセンブルグ ブリュッセル 先日のベルギー旅行から一週間ちょい、ふたたびベルギーくんだりまでかばんを買いに行くことになりました。このバイトは慢性的な人手不足のためか、バイヤーさんがわざわざ朝6時に家の前まで車で迎えに来てくれるのです。つか、一泊二日でゆったり仕事すればいいのになぁ、、と思ったのですが、円安のためギリギリまで経費を抑えないとならないそうで、ホテルなんて取るお金はこれっぽっちもないそうで、世の中どこも経費節減なんですなあ。 さて、ルクセンブルグはフランスの隣にありまして、パリから高速で5時間ほどの所にある小さな公国。面積は神奈川県ぐらいだそうで、そこにある巨大コンツェルンの小さな支店に行っていろいろ買い込むのが本日のお仕事。小さい店ですが、やはりお客さんには全く媚びず、12時からはお昼休み休憩で2時間閉店してしまいます。なのでバイヤーさん、車飛ばす飛ばす。平均速度は時速160キロ、前方に車がなければ余裕で200キロいっちゃってます。車はプジョーの一番安いやつ(レンタカー)でありまして、絶えず原因不明の微妙な横揺れがしています。ここ1年車に乗っておらず、日本でもそんなに速度を出す車には滅多に乗らないもので、すっかり忘れていたのですが、自分はかなりのスピード恐怖症。なので、ちょっと前方(2〜3キロ先)にある車のブレーキランプが点灯したら、涙を流しながら「お願いだから減速してくれ」と懇願、ちょっと車が横に揺れたら、辞世の句の準備、手のひらはじっとりと汗ばみ、胃は収縮し、とにかくどんなときでもドキドキヒヤヒヤ。さらにこっちの高速は道路の脇に居眠り運転防止用に「高速で事故を起こすとこうなっちゃうよ〜ん」という、ブラクラまがいのグロ写真が数キロおきに掲げられており、そいつと自分の未来を重ね合わせてどんより気分に。早起きした分、車の中では爆睡してようと思っていたのにそんな暇は一秒もありませんでした。こっちの運転は総じて荒いので本当に生きた心地がいたしません。 さてと、漸くルクセンブルクに着きました。ルクセンブルクの商店街にはなぜか、等身大の牛フィギュアが数メートルおきに配置されております。牛の国なのかな? 先日モノグラムを一つも買ってこなかったので、「本日はとにかくモノグラムを買ってきて」と念を押されてしまいました。そして必ずモノグラムをゲットするため「バイヤーだと思われない用に」グラフィティとかいう、モノグラムの鞄にドキュンの落書きみたいなのが書いてあるしょうもない鞄を支給されました。「これを持っていけば、単なるバイヤーじゃなくて、そのブランド大好きっ娘ぽいでしょう」とのこと。うーん、仕事とはいえこんなもん身につけたくないなあ。 そして入店、先にモノグラムという単語を出すと警戒されてしまうので、まず最初に制限が無く買うことが出来るボールペンやシャーペン、ベルトなどを押さえることにしました。が、店員さんの目がちょっとなんか訝しげ。「その鞄は手に入りにくいのにどこで手に入れたの?」と訊ねられました。おおおおおお、珍しい鞄を持っているため、かえって「こいつら普通の客と違う」ってなかんじで店員さんに怪しまれているようです。グラフィティ逆効果。こんなダサかばんのために疑われてしまうとは・・・ しょうがないので「パリで買ったの、わたしたち(友人と一緒に入った)、もう、このお店のものが何もかも好きなの」と答えてみましたが、うーむ。パリで買ったというのに、わざわざこんな小さな国の小さな店に来るのはおかしいよなあ。もうちょっとマシな答えを考えておけばよかった。とにかくそんな感じでドバドバ買い込みルクセンブルクの任務完了。5分休憩して慌ただしくブリュッセルに出国です。結局、この国にいたのは休憩含めてたったの25分、ガキの罰ゲームみたいだ。 そして次はブリュッセルへ。お昼抜きで車を飛ばします。ただいまヨーロッパはバカンスシーズン。高速を走る車の多くは車体の後ろにボートやキャンプ用の小屋をくくりつけており、そのためにどう考えてもバックミラーが機能していない様子。飛ばしている我々なんか気にもせずに、いきなり車線変更かましてきちゃうんですから、もう(オレだけ)泣きそう。トイレ休憩で寄ったサービスエリアには、フランスの若人たちがウッドストックごっこかなにかは知りませんが、オーガニック植物を使って神の声に耳を傾けたりしていて、とにかくどこもかしこも生きた心地がいたしません、走馬燈が一分間に45回転しています。ほんと速く帰りたい、帰りたい。 だがしかし、順調にブリュッセルに辿り着いたのものの、いまいち道が分かりません。私も先週訪れたばかりですが、もちろん車道のことは分かるわけがなく、行っても言ってもスラム地区だったり、イスラム地区だったり、都心とはほど遠いところばかり。結局、お店のある中心地に着いたのはブリュッセル市に入って2時間後、アントワープのお店にも行かなくてはならないので、休憩抜きでブリュッセルのそのお店に入ります。し・か・し・・・ われわれがもたもたしている間に、コンピュータのデータがベネルクスの中央センターに渡ってしまっていたのです。レジでパスポートを見せたところ、それまでニコニコしていた店員さんの顔がみるみる般若の顔に変わり、「あなたたち・・・ ルクセンブルグで午前中にお買い物をしましたね・・・ そんな人たちには売ることが出来ません!」と、怒られてしまい追い出されてしまいました。なんと絆の固いベネルクスネットワークですこと。つか、他国の買い物までケチつけんなや。つまりこれからアントワープに行っても、我々は何も買うことができないのです、無駄足なのです、これ以上給料も増えないのです、とほほ。バイヤーさんも必要な分のモノグラムが揃えられないのでかなりダメージが大きかった模様、我々も給料が先日よりもらえないことが確定して(それでも2週間分の生活費にはなるのですが)、かなり凹んでます。しょぼん・・・ ブリュッセルの町中で佇む我々・・・ 誰も何も言わない時間が数分ほど流れます・・・ すると、なんとやけっぱちになっているバイヤーさんがいきなり「やけ食いしたい」と言い出しました。「ムールをこれまで食べたことがないので、今から食べる、みなさんの分はおごります」とのこと。おおおおおお、バイヤーさんはストレス解消に散財するタイプだったのです。生きていて良かった!「え・・・ いいんですか? 私たちなにも出来なかったのに・・・」と遠慮をする素振りを見せつつも目が輝く私。こないだは金が無くて行けなかったブリュッセル一の繁華街、イロ・サクレ地区にバイヤーさんを案内し、バイヤーさんにムールを食べさせつつ、自分はカルボナードに舌鼓を打ちました。もちろんビールも沢山、やっぱりベルギーのビールってほんとおいしい。。。 そして、帰路。二日間ほどお仕事をすることによって、長時間一緒の空間にいることによって、もう一生合うことのないどうでもいいと思っていたバイヤーさんと心を通いあわせることが出来るようになりました。輸入の買い付けの仕事の仕事の魅力の素晴らしさ、そしてニュースキンの製品の素晴らしさを帰り道の4時間、アクセルを踏みながら熱く語るバイヤーさん、携帯電話にかかってきた電話を取り、200キロ出しながら片手で車を運転するバイヤーさん、ムール食べていて帰国が遅くなったというのに「いやぁ、道に迷っちゃって〜」とぬけぬけと答えるバイヤーさん。これがいわゆるロードムービーってやつなんだなあと思います。世の中にはいろいろな人がいて、いろいろな職業があるのです。そんな人ともちょっとだけ仲良しになれることが分かっただけでめっけものです。 帰宅は23時でした。つまり拘束時間17時間、実働1時間、働いた時間だけで考えればかなりの稼ぎですが・・・ でももう絶対やりませんよう・・・ ほんと、車だけは勘弁です、こっちの車は本当に本当に恐怖です。 |