それは先週の金曜日のお話です。夜9時頃、することもなく横浜をフラフラと徘徊していた私の携帯に知らない方からの着信が。派遣会社!? 急ぎの仕事? 期待に胸を膨らませつつ電話に出てみると、なんと電話の主は「クイズ$ミリオネア」のスタッフの方でした。そういえば、前に一回電話したんだよな・・・ 朧気な記憶を掘り起こしながらスタッフの方とお話していると、いきなり今から第二次予選をはじめるとのこと。 え、ちょっと待ってくださいな、道ばたでクイズ出されても困るのですが・・・ ってなことは小心者なので言えず、横浜はルミネ、エレベーター前(レストラン街に行く人々でごったがえしている)でいきなりクイズは始まりました。 問題は全部で10問、機密保持のため問題内容を記せないのですが至極簡単なものばかり、あっさりと合格点を取ることが出来ました。しっかし道の真ん中で携帯に向かって「鰊!!」とか「チャーリー・ブラウン!」とか叫んでいる女ってどうよ? 通行される方々はみんな訝しげな目つきで私を睨んでおりましたよ。あからさまに迂回されちゃいましたよ。まあ、どいつもこいつもこれから一生関わり合うこともない人々ですから構わないのですけんども。うそ、今ちょっと強がりました。やっぱりちょいと恥ずかしいです。。。
というわけで第二次予選突破、次が最終予選だそうです。帰宅すると家にファクシミリが届いておりまして、それによると予選は11月の21日(水)11時、都内制作会社事務所にて。そしてその際に「視聴者の皆様に反感を持たれない1000万円の使い道」、を考えた上「家族の写真」と「テレフォンブレーン」のメンバーリスト提出することなど全3枚に渡って事細かく書かれておりました。テレフォンは類友な人々に頼むとして、問題は1000万円の使い道・・・ 他の国はどうだか知らないですが、日本のミリオネアは成績よりも人柄重視。クイズだけ出来ても面白みのない人は出演ができないそうなのです。株式会社を立ち上げてみたり、中古マンションを買ってみたり、全身改造手術を受けてみたり、1000万円自由に使っていいんだったら、そりゃあ欲望はもりだくさんです。でもでも、「人様に反感を持たれないように」という箇所は難しい。手堅く運用とか、世界各地のビールを全部集めるとか、1000万円分年末ジャンボ買ってみるとか、そういう使い方じゃだめなんでしょうか・・・
そんなこんなで悩んでいたらあっという間に当日。久々の早起き(このごろ5時就寝13時起床)で目眩を起こしつつも、浜松町の制作会社に向かいます。結局、冴えたお金の使い道は思い浮かばず、取りあえず「1000万円使ってフランスに行ってフランスのミリオネアで100万ユーロとってみる」という題目を考えました。つか、1000万円って中途半端すぎます。法律のせいで他の国より賞金が低いのはしょうがない、けんども1000万円という、妙にリアル味を帯びている金額だとねえ、、、100万円か1億円だったら他にもっと考えつくんですが・・・
指定された時間に会場到着すると、すでに多くの方々が待機してらっしゃいました。ほぼ全員が20代後半から30代後半の女性の方々です。 あれ? レディース大会? 受付でエントリーする際に、さりげなく人数を数えてみたところ約30名。ということは約三倍の競争率ってことでしょうか??? 思っていたより予選は楽かもしれません。んで、スタッフの方が持っていたエントリーシートをちらりと見たところ、職業欄はほぼ全員「主婦」。「無職」と書いてあるのは私だけ(他に家事手伝いが一人)! うわぁ、肩身せまい〜 気が付けば持ってきた家族の写真を見せ合いながら、みなさま仲良さそうに子育てトークに花が咲いています。無職はどこへ行っても無職なのね・・・ でも、つまり珍しい肩書きということで、もしかしたら番組に出られるかも・・・ んなわけないかあ。
そんなこんなで一室にあつめられ、スタッフの方の説明。なんと、ミリオネアの予選は週に3回も(水・土・日)に行われているんだそうです。あれれれ、じゃあ競争率はもっと上がるわけですね。そんでもって、立派な職業に就かれている人々は土日の予選に臨まれているわけですね・・・ すいません平日にフラフラ出て来れてすいません・・・ と勝手に落ち込んでいる間にもスタッフの方は熱く語りまくります。「ミリオネアはクイズ番組ではなくてドキュメンタリー番組」「あなたたちはある意味既に選ばれた人間なんです」「明るい未来のために1000万円を勝ち取りましょう!!!!」 まるで自己開発セミナーです。毒気にあてられてしまったのか、私の隣の奥様は「クイズに出る自信がなくなりました・・・」と言い残して途中で帰ってしまわれました。そうかあ、ミリオネアってすごいハードルの高い番組なんだなあ(←すいません、実は日本の番組見たことないんです・・・)
スタッフの方の指示通りに、面白おかしくプロフィールを書いた後に予選問題50問。隣の部屋では「あさづまー あさづまー」と誰かが叫んでおります、フジってかんじですなあ。クイズは思っていた以上に簡単でした。新聞を毎日読んでいる人ならば答えられるような問題ばかり。ということは、平均点が高い→同じような点数だったらテレビ的な人の方が選ばれる、ということですよねえ。あんまり面白いことが言えない私、つまり面接受ける前から落ちたも同然じゃないですか。凹みます、そりゃあ凹んでしまいます。
クイズとプロフィール書きが終わってからは、一人一人面接の時間。はるばる遠方から着た奥様方(福岡や神戸から始発の飛行機に乗ってきたそうな)や、子供を預けてきた奥様方を優先に面接は始まります。もちろん身軽だけが取り柄の私は必然的に順番は後。待たされている間は「過去に1000万円を取った人々の番組を見て気分を盛り上げましょう」ということで、昔のミリオネアをみんなで鑑賞。なんとブラウン管の中には埼玉県庁にお勤めの能勢さんがいらっしゃいました。能勢さん! 91年の秋、突如ウルトラクイズ内に現れた彼。前々回のチャンピオン長戸さんもワイルドで素敵でしたが(親元を離れて立命館付属高校に入学することを本気で検討していた)。能勢さんの甘いお顔建ちと頭の回転の速さに、10年前の私はあっというまにずぶずぶとのめりこんでいたのです。そういえばその頃、フリッパーズギターが解散してしまったのですが、私は能勢さんのおかげで人よりかはショックを受けないで済んでおりました。つまり能勢さんには癒し効果があるというわけですね、すごい能勢さん。。。ウルトラクイズは終わってしまい、その後素人クイズ番組は廃れてしまいましたが、それでも能勢さんのことを時々は思い出しておりました。フランスにいたころも風の便りに「能勢さんが1000万円取った」と聞き、放送みたいなあ・・・ と思っておりました。その回を本日見ることが出来るなんて! 放送は能勢さんの「すらすらクイズを解く姿」「ちょっと難しいクイズに渋い顔をする姿」「難解なクイズに能勢セオリーと勘を持ち込み、なんとか正解する姿」「お父さんに孝行する姿」などなど、とにかく能勢ワールド全開。んー もう本選出れなくてもいいやあ。
んで、能勢さんの回が終わってしばらくした頃、漸く私の名前が呼ばれました。ああ、面接って本当に苦手なのです。無職がこんなに長いのも、面接が苦手なことに原因があると思っているくらいです。緊張しながら個室のドアを開けると、若いお兄ちゃんが二人。作家かディレクターのお兄ちゃんと、ビデオで私を撮影するお兄ちゃんです。「テレビ向けの素材か否か」の選別はすでにはじまっています。
「こんにちは〜 じゃ、さいしょにかる〜く 自己紹介いってみよっか?」
でた、業界ノリと業界口調。この世で最も苦手なものの一つです。普通の面接でもガチガチなのに、こういう苦手状況だと、さらに緊張は加速してしまいます。
「も、も、もよです。」
「あ、は〜い、緊張しないでね〜 さて、1000万円は何につかうのかな〜?」
「え、あ、はい、フランスに行って・・・・」
たどたどしくも、とりあえずこないだまでフランスで楽しんでいたミリオネア(qui veut gagner des millions?)に出たいとの旨をお兄さんに伝えてみました、が
「う〜ん・・・・ ちょっと弱いんだよねえ〜 お父さんは何をやってる人なの?」
「え?」
(・・・・・会話を2分ほど中略しました・・・・・)
とにかく、空白の2分間。私はこの2分間で業界の人の恐ろしさと口のうまさをまざまざと見せつけられました。「憧れのフランスにもういちど」、私の望みはただそれだけなのです。なのになのに、あのお兄ちゃんときたら! たった2分で、たった120秒という短さでそんな私の淡い望みを 「パパイヤのキムチを作る工場を建てたい」 とかいう訳のわからない望みに変更させやがりおって。なんだそれ、シュールすぎてわけわからんわ。
そんでもってそんでもって必死でかき集めたフランスでの写真も「いらない」、家族の写真も「写りがわるい」と言う理由で受け取り拒否。これってつまり「もうテレビに映ることもない人のだから写真の必要がなくなった」ってことじゃんか。むき〜 腹立つ〜 とは思うものの何も言えず、面接の時間は終わってしまいました。
面接が終わったらスタッフさんと一緒に待機場所を通って出口まで。機密漏洩されないように待機場所にいる他の人と接触をさせないよう配慮しているようです。このスタッフさんは、週の半分以上を素人さんの送り迎えで過ごしているのですね・・・ 尊敬しますよ・・・ んで、エレベーターは一階に付きました。スタッフさんさようなら・・・ って思ったら。スタッフさんが手招きします。え? 終わりじゃないの?
通された部屋では、私の前に面接をされていた人々が机にむかって必死になにやら書いています。 ? ? そう、先ほどの簡単なクイズはどうやらダミーだったようです。こちらこそが本当の筆記試験! うわぁ、こういうことだったのか、、、 先ほどの問題よりもやはりヒネリがきいておりました。こういうひっかけもイギリスから買ってるんですかねえ。血ヘドを吐きつつ、なんとかかんとか解きましたが、多分出られない私には関係のないこと。見直しもせずに試験官のスタッフに答案を渡し、どんよりと沈みながら会場を後にしました。
救いだったのは、天王州アイルのカフェにクリーク(さくらんぼのビール)が置いてあったことぐらいでしょうか。昼間の3時から空きっ腹に流し込みまくりですよ、まったくもう。
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