メキシコ映画祭といいつつ、またまた女装男子の話ですが

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パリ・インデペンデント映画祭にも出品している(…と、パリとの関連をむりくり見つけての紹介ですが…)メキシコのドキュメンタリー映画「ムーシェス:アタシたちの楽園を求めて」など、6つのラティーノな映画が東京・神戸で上映されるようです。

メキシコ・ドキュメンタリー映画祭
渋谷ユーロスペース 10月14日〜10月20日
神戸KAVCシアター 10月21日〜26日(24日休館)

「ムーシェス」は、Alejandra Islas という女性監督の作品で、メキシコ先住民サポテコ族に伝わる「ムーシェ(Muxe)」と呼ばれる女装の男性たちを追った映画のようです。

予告編はこちら。(quick time)
本日14日には、監督のトークショーもあるようです。

061013 director of Muxes.jpg←監督さん

いわゆる差別と闘うゲイ映画メキシコ版?と思ったら、なんと、サポテコ族のムーシェは、差別どころか、第三の性として社会的に認められた存在なんだそうです。

サポテコ族は、女性が経済を握る母系社会だそうで、女がお金を稼ぎ、家督も末娘が継ぐのだとか。彼らの言い伝えに、顔が上向きで生まれた子は男の子になり、下向きは女の子になる、というのがあるそうで、下向きで生まれてきた男の子や、女っぽい男の子には女の格好をさせて、「ムーシェ」として育てるそうです(途中で自己申告でムーシェになる人もいるらしい)。
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ムーシェの仕事は、伝統的には祭祀の準備に必要なあれこれ(衣装作り、飾りつけ、料理、振付など)で、現在は、仕立て屋や美容院経営をしている人が多いとか。女性の貞操を守るため、ムーシェが若者たちの筆おろし(初体験)の相手になったりと、風俗ムーシェ的な役割を担うこともあるらしいです。

たいていのムーシェは母親のよき助けとして家業を手伝いながら実家で暮らすようですが、男の人と暮らすムーシェもいれば、女の人と暮らして子供を作るムーシェもいたりするそうです。

ちなみに、マリマチャと呼ばれる男装の女性もいるそうで、
ようこのとりかへばや物語」さんのこちらの記事によると、このサポテコ族が住むフチタンという街では、女として生きたい男は女装、男として生きたい女は男装すればいいんだとか。

性同一障害で悩む、なんてことは、この街にはないわけですな。
悩むどころか、ムーシェが生まれると神様からの贈り物として喜ばれたりするそうです。
よって、フチタンは「クイア・パラダイス」として、ゲイ業界の人には有名な街らしいです。

どんなにパラダイスかは、こちらの記事が詳しいようです↓
ゲイフォビアのない町・フチタンに潜入 メキシコ☆旅日記 完成版

実態は、映画で!
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ちなみに、三橋順子さんによると、ムーシェのような存在は、他にも、インドのヒジュラ(Hijra)、アメリカ・先住民社会のベルダーシュ(Berdashe)、インドネシア(南スラウェシ)のチャラバイ(Calabai)などがあるそうです。
日本のお稚児さんもその範疇ですかね。

ムーシェだけでなく、フチタンの社会システムはかなり面白いらしく、「女の町フチタン?メキシコの母系制社会」という本も出ています。
こちらに一部紹介が↓
「講座:強〜い女(男)たち・フチタン(1)〜(4)」

実際のフチタンは、こんなとこらしいです↓
http://www.eleguatv.com/videos/Juchitan.mov(quick time)
http://video.google.com/videoplay?docid=8267744941257316911&q=juchitan


ムーシェ写真集 byVittorio Donofri ↓ 26歳のAMARANTAさん。美しい!
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ムーシェとフチタンの写真集 by Nicola Okin Frioli
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トップページからReportages→Mexico
→Muxes - Princesses in a land of Machos
→Juchitan Women of Tehuantepec Istmus

映画で紹介されている(らしい)お祭りは、毎年11月開催だそうです。
フチタンの近くには、サポテコ族が築いた世界遺産「モンテ・アルバンの古代遺跡」もあるし、昔ながらの手工芸や料理もいいらしいです。行ってみたいもんです。

Posted by 7NT-RDBL at 2006/10/13(ven) 11:36 PM [映画 , 本・雑誌 , 歴史 ] | Hatenaブックマークに追加 |

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